2013/1/14 しょうがないよ、楽しすぎたんだから

 そろそろ『Playback』を見直そうと、考えている。

 

 三宅から「久々に観た方がいいよ。いろいろ変わって見えるよ」と言われたのもあるし、考えてみれば、8月にロカルノの大会場で観て以来(いや、あのときだってお客さんの帰る足音ばかりに耳がいって集中できなかった!)、見直さないまま2012年を終えてしまったのである。編集中からさんざん観てきたし、もういいでしょ!って言葉も頭のなかで聴こえるけど、いやいや、いまもういっかい観たいんだ、『Playback』。そんな気持ちが起こるのも、はて、あと数回で東京上映が終わるからかしら?たしかにちょっと感傷的には、なるです……。

 とはいえ、12日からは名古屋シネマテークさんでの上映も始まったのだ。何を隠そう、ぼくは愛知県岡崎市出身なのです(名古屋から電車で30分ぐらいです)。ほんとのことを言うと、名古屋と岡崎は文化が違って、距離以上に遠さがあったりして、名古屋のことはそんなに詳しくなくって、年末の「Playback男だらけの関西〜名古屋プレツアー」でも、名古屋を案内できずにさんざん皆からバッシングを受けてしょんぼりしていたのだけど……。でもやっぱり、高校の時分にオシャレして、気合い入れて行った映画館で『Playback』が上映されるってのは、おかしな感じだけど、嬉しいのだった。

 年末年始は実家に帰って、数年ぶりに中学3年のときのクラスメイト十数人の集まりに行ってきた。毎年誘われながら、ちっとも行けてなかった集まりだ。ちょっぴり緊張しつつ、ここぞとばかりに前売り券持参で、勇んで臨んだ。「ひろし、いま何やっとる?」「うん、映画に関わっとってさ、今度やるんだわ、名古屋で」と言って、前売り券をごそごそ出した瞬間、もちろん皆からブーイングである。そりゃそうだ! 自らを恥じましたよ。前売り券売るために、久々の友人たちに会いに来たなんて! どこぞの宗教じゃないんだからね!結局その夜は2枚、金島という友人に買ってもらっただけだった。でも、その夜はそれ以上前売り券を売るには、あまりに楽しすぎた。そう、楽しすぎた。『Playback』関係者のみんな、そして劇場さま、どうか、どうかお許しください(代わりに親戚まわりが協力してくれましたから……)。

 
 名古屋近郊の皆さん、どうぞ『Playback』にふらりと足を運んでみてください!東京近郊の皆さん、上映もほんとのほんとにもうすぐ終わりますよ〜。ぜひ。
松井

 

2012/12/12 品行が悪くても品性さえ良ければ……

 『Playback』延長上映しています。
 延長上映ができるということは……。観に来ていただけるお客さんの皆さんへの感謝はもちろんなのですが、上映劇場のオーディトリウム渋谷さんにも、こんな場所での挨拶で恐縮ではありますが、改めて感謝です。ありがとうございます!
 公開前、このスタッフ日記内で岩井さんが、ひとつの映画を子供にたとえていたけど、最近ようやく自分のなかで『Playback』という子供が自立しはじめてきたのかなあ、と感じます。いろんな方から良かったり悪かったりの言葉をいただきながら、『Playback』くんは『Playback』くん自身の人格と身体を持ち始めてきたのかなと。とはいえ、でもこれからは東京以外の劇場でも上映がおこなわれるわけで、その都度、また別の人格と身体を持つ『Playback』くんができてくるのでしょうね。『Playback』ちゃん、かもしれないし。優等生でもいいですし、不良になってくれてもいいですよ。でも、誰かがどこかで言っていたように「品行が悪くても、品性さえ良ければいい」という教えだけは、僕たちがちゃんと教えてやるんだと、つねづね思っているわけです。
 まだまだ『Playback』、どうぞよろしくお願いします!
松井

2012/12/1 映画の日

 本日は映画の日であった。いわゆる「映画ファーストデイ」というやつで、どなたも一律1,000円で映画が観られるわけだが、どうも調べてみると、日本全国津々浦々どこの映画館でもファーストデイ割引をしているわけではないようだ。各都道府県によるらしい。ちなみに本日の12月1日というのは由緒正しい日付らしく、「映画の日」は「かつては全国的に12月1日だった(1956(昭和31)年に映画産業団体連合会が制定)」(「はてなキーワード」より)とのこと。「一般社団法人映画産業団体連合会」も、12月1日の「映画の日」に毎年中央式典をおこなっているのだそうだ。はあ、そうでしたか。全然知らなかった。

 

 12月1日という由緒正しき日付で、しかも休日である。こんなときに『Playback』ロードショー中とは、運が良いとでも言おうか、ちょっとした名誉でもいただいた気分になってしまう。おかげさまで、あきらかに多くのお客さんたちに来ていただけた。やっぱりすごいよ、映画ファーストデイの威力は。

 でもね、ファーストデイは終わったけれど、明日も明後日もその次も、映画は慎ましやかにあなたを待っております。

 

 いやいや、そうなのだ。本日土曜日から、ついに4週目に突入なのである。3週目は2週目ほど短くは感じなかった。「ああっ」という間、ぐらいだった。『やくたたず』上映もあったし、トークイベントも充実していた。批評家、映画監督、写真家、女優、彼ら/彼女らに公の場で『やくたたず』や『Playback』に対する言葉によって、「監督三宅唱」の輪郭がぐっとその線を太くできたと、そう感じた。僕個人としても、新たな角度や言葉を発見させていただいた毎日だった。

 

 どうでもいいが、昨夜は久々に卓球をやった。『Playback』チームの4人。三宅は口だけだった、とだけ言い添えておく。

 松井

 

2012/11/24 ツイッターもいいけど雑誌はもっといいよ

 本日より3週目に突入。

 

 11月10日からの1週目は、ずいぶん長く感じたのを覚えている。が、2週目は「あっ」という間だった。どこも、誰しもこういうものなのだろうか。初めての経験なのでわからない。じゃあ3週目はもっと「あっ」という間なのだろうか。「あっ」もなくて「っ」ぐらいなのだろうか。想像を絶する恐ろしさだ。

 

 とはいえ本日は、三宅の前作であり処女長編『やくたたず』1週間限定上映の初日でもあった。告知が遅れてしまったが、期間中はゲストをお呼びしてトークもやるのだ。しかもゲストの皆さん、豪華です。あの映画監督、あの女優、あの写真家、あの俳優、あの社長と、まあ別に隠す必要もないが、ここで書くのもなんなので、告知をご覧ください。お客さんのみならず、僕らの方も楽しみで仕方がないのです。

 

 ということで、きっとこの3週目が「あっ」という間なんてことは、ないだろう。いや、どうなんだろう、うーん。まあ……、考えても仕方ない。

 

 と、もうひとつ。本日よりオーディトリウム渋谷にて先行で、雑誌「nobody」最新号が販売開始された。50ページに渡る『Playback』大特集なのだ。ついに出た! 実は僕もまだ全部読めていない。

 

 ちなみに僕のオススメは、特集外だが、染谷将太さんの人気(?)連載ページ「SOMETIME」(「ソメタイム」と読む)。染谷さん本人が撮る写真と、インタヴューや対談で構成されたページです。今回は染谷さんがラッパー/DJのPUNPEE(PSG)さんと三宅を招いて、彼らの写真を撮って、対談もやっているのだ。僕が取材・構成をしているので、いわゆる手前味噌ってことにもなるが、いやあ、この三者の出会いは歴史的でした、ええ、たぶん。いつかみんなで一緒におもしろいことやれたら、最高だ。

 

松井

 

2012/11/19 フェイスブックもいいけど映画館はもっといいよ

 寒い。三日月がやたらときれいである。

 

 本日月曜だが、きのう日曜の最終回に、大学時代の友人がふたり一緒に来てくれた。土曜の最終回にも、同じく大学の友人がひとり来てくれた。全員とても信頼できる人間なので、だから逆に緊張していたし、それで「おもしろかったよ」という一言を聴けたときは、素直に嬉しかった。ありがたや。

 

『Playback』上映が、こうやって久々だったり、ときたま会う程度の友人に会える機会となって、なんだか不思議なもんだなあと思ってしまう。フェイスブックとかやってないしね。

 

 そんなこんなでふと、柴田貴哉という男を思い出してしまったのである。いや、こいつのことはしょっちゅう思い出すのである。柴田貴哉は『Playback』の出演者である。三宅の前作『やくたたず』でも主演していた男である。そして、すごい男だ。何がすごいかって、『やくたたず』でも『Playback』でもいいので、見れば一瞬でわかる。まさに、新たな俳優が生まれつつある現場に立ち会っている、という興奮。ちなみに一度だけ一緒にフットサルをやったが、どえらいうまかった。ちなみにいつだったか、新しくサングラスを買ったとき、古いサングラスをあげた。僕の百倍似合っていた。

 

 どんなに小さな役でもいいので、今後のどんな作品でもずっと柴田貴哉は使いつづけるべきだと、僕はエラそうに、三宅にときどき言っている。が、柴田には最近ずいぶん会っていないのだった。そろそろ年末だし、久々に飯でも一緒に食いたいもんだ。

松井

 

2012/11/12 トークイベント週間 

 今日は念願の『白夜』(ロベール・ブレッソン)を見た。以前、KEEさんこと渋川清彦さんに「この映画は最高ですよ、ヤバいですよ」とオススメしまくったくせに、当の自分は別のブレッソン映画と勘違いしていて、実は未見だったという体たらく。先日渋川さんに「『白夜』めちゃくちゃおもしろかったー」と言われたときは、正直に告白しました。ので、罪悪感のお払いも含めて、今日は絶対見るぞと決めていたのでした。

 

 ブレッソンの映画でどれがいちばん好きか?なんていう議論は、ホントにどうでもいいことだと思うのですが、それでも敢えて言うなら、ぼくは『湖のランスロ』でした。でも、今日から『白夜』をどうしようもなく好きになってしまったのです。映画を撮ることと誰かを愛することについての、本当にロマンチックな作品だと思いました。

 

 なんてことを『Playback』スタッフブログで書き続けていいのかしら?と不安になりますが、いえいえ、本日の最終回上映後には渋川さんと三宅監督のトークをおこなったわけです。ということで、なんとなく繋がってますよね。  みなさん、渋川さんがブリーズライト(鼻に付けて鼻孔を広げるやつ)のCMに出てたり、キムラタクヤ主演ドラマ『PRICELESS』に出演してるのって、もちろんご存知ですか? CMはいまYouTubeでも見られます。ドラマもね、ぼくは渋川さん出演回だけ、ちゃんと家に帰って正座して見ました。ええ、単なるファンですね、これは。

 

 トークは監督も渋川さんもリラックスしていたし、お客さんとの対話もできたし、いい感じでした。明日からはまた別の俳優さんと監督とのトークが続きますが、三浦誠己さんも、村上淳さんも、そして渡辺真起子さんも、当然だけどそれぞれ別の魅力を持っていて、トークの内容だって雰囲気だって、それぞれ違ってくるわけです。それを連日見られるのは、ぼく個人としてもすごく楽しみなんですよね。

 

 俳優さんたちの言葉って、やっぱりすごくおもしろいですよ。そして、俳優さんにとっても監督にとっても、もちろんぼくにとっても、お客さんと対話できるってのは、すごく楽しいし、何よりも勉強になるんですよね。明日からもよろしくお願いします、です!

松井

2012/11/7 主義主張じゃなくて流儀

 『Playback』公開が迫っている。11月10日、今週の土曜だ。公開数日前の状況がどんなものなのかなんて、2年前も1年前も半年前も2ヶ月前も1ヶ月前もまったく想像できていなかったが、まあこういうものなのか。相変わらず日々の諸々に追われている、という感じ。まあ1日前までドタバタ作業せねばならないことは決定している。みんなで、やるのみ。

 「ぼくは自己主張っていうのはね、あんまり、ぴんとこないんでね。(省略)それほど自分をあからさまにだすとか、そんなことは考えたことはないし、自分の流儀ですよね、主張というより。流儀でこうなるっていうんで、主張なんかじゃないですよね」
とは、著書『けんかえれじい』のなかでの鈴木清順氏の言葉である。近ごろはこの「主義主張じゃなくて流儀」ということを、ふとしたときによく思い出す。

 

 じゃあいったい流儀ってのはなんなのか? よくわからん。アチチュードってことか。おそらくそうだが、それだけじゃない。でもとにかく、やはり流儀のない映画も小説も音楽も美術作品も、やり方も生き方も、もうどうだっていいし、ぜったい関わりたくないし、ばいなら、と最近とくに強く感じている。

 

 だからつい先日、映画『ニュータウンの青春』(森岡龍監督)を見たあとは、とてもワクワクした気分になった。そこには主義主張じゃなく、流儀があった。流儀を生きようとする者たちへの、おおきなやさしさがあった。

『Playback』を見る人たちにも、そんなふうにワクワクしてもらえたらいいな。

 

 松井

 

2012/10/25

 各所に電話やメール、取材の段取りなど。

 ぼくは「nobody」という映画雑誌に10年ぐらい関わっていて、だからいつもは取材する側、インタヴューする側。でも『Playback』に関しては、取材は別に受けないけれど、作品を観てもらう側だし、取材を設定する側にいる(実際ほとんどは岩井さんがやってくれてるけど!)。これはなんだかおかしな感じだ。正直に言えば、取材を設定する側の気遣いや心配なんてこれまでほとんど考えたことがなかった。けっこう大変だとわかった。また媒体さんのインタヴュー原稿を送ってもらって、目を通してチェックするなどいうのも、普段とは逆の立場であって、勉強になるというか、いろんなことが見えてくる。これはこれでおもしろい。取材する側とされる側の思惑が一致するなんてことは、あるようでないのかもしれない。いや、ないようであるのかもしれない。作品への愛情の持ち方が同じである方が気持ち悪いだろうし、その意味で『Playback』は、まさに多種多様な愛情を受け入れられるおおらかさというか、ふてぶてしさというか、そんなようなものを持ち得ているんじゃないかな、なんて思う。

 

 しかし、やっと観た『ライク・サムワン・イン・ラブ』も、ふてぶてしさでは天下一品なのだった。最初のシーンでは、妙な固さというか、ちょっと段取り感がむき出しすぎやしないか?と不安になったが、なんのことはない、それがそのまま、ほとんどコメディというかコミックの域にまで達するさまは、ブレイク・エドワーズやジャック・タチにも比肩しうるほどでまったくもってスリリング。

 と同時にこの作品は、とてつもないメロドラマでもあった。メロドラマは窓を介して生まれる。人々が誰かを見つめ、誰かを想うのは、窓を介してのみだ。手の届かない何か、誰かを窓から見つめるしかないという、その残酷さ。『ライク・サムワン・イン・ラブ』はメロドラマの精髄をむき出しにさせた映画だとも言えるんだろう。

 すべての人物たちがとんでもなく不幸なまま、唐突に迎えられるラスト。無人となったそのショットには、窓がある。もはやそこに鹿が現れることはない。しかし、窓だけは、ある。そして、よくわからないが抑え難いエモーションも、たしかにある。だから窓とはエモーションそのものなのだ、と気付く。そして『Playback』にもまた、そんな窓が確かにあるなと気付いた。

 そうそう、『Playback』最後の先行上映が、ついに27日(土)におこなわれます。ぜひふらりと足を運んでみてください。

松井

 

2012/10/23

 23日は三宅とふたりで水戸。ISEC(アイセック/社団法人いばらき社会起業家評議会)というところに招かれたのです。ISECは今年の水戸短編映像祭にも協賛していて、同映像祭ディレクターで『Playback』ロケーションコーディネーターでもある平島悠三が映像祭のことを、そして水戸を故郷とする『Playback』のこと、またインディペンデント映画のことなどを、三宅とぼくとで諸々報告というか、パネルディスカッションというかたちでお話させていただきました。

 

 映画と街が結びうるすばらしい関係とは、どんなものなのか。たとえば横浜の黄金町と瀬田なつき監督『5 windows』は、それのひとつのかたちを示したと思います。もちろん『Playback』も、水戸で撮影をしたわけですし、水戸という街との関係を強く持っています。でも、その関係を実りあるものにするのは、まだまだこれから。『Playback』も水戸もこれから、現在進行形のなかでいろんなことを模索し、チャレンジしつつ、一緒に泣いたり笑ったり、怒ったりしながら進んでいくわけで、関係はまだまだ始まったばかり、とも言えるんです。

 

 しかし普段はなかなかお会いする機会のない起業家の方々と時間を共にし、お酒を酌み交わすなんて、いったいどうなるんだろう……と、少し不安でしたが、なんのことはありません、皆さん本当に映画も文化も街も愛していますし、何より、かつてのように自分たちの生活の一部として映画があってほしいんだ、という気持ちを強く持っている。そこは僕らも変わらないし、そのためにできることは、まだまだこれからたくさんあるはずなのです。水戸は近いうち、さらにおもしろいことになるはずです、きっと、やばいです。

 

 ちなみに水戸へは三宅と一緒にバスで行きまして、道中、あの映画が好きだ、この映画が最高だという、「映画好きふたりの馬鹿話」を久々にしました。ここ最近ずっと、あれやったか、これやったか、あれやらなきゃ、これやらなきゃ、なんて話がメインで、純粋に映画ばなしをしたのは、なんだかとても久しぶりだったような……。こういうのって必要だね、やっぱり。おかげで胃痛も治った。松井