2012/12/3 とりかえしはつきません

 3年ぶりに部屋の模様替えをした。

 

 仕事は段取り事が多いので、私生活も段取りしまっくってると思われがちですが、基本的にノープランなもので「えーい、やってまえ」的に本棚をネットで注文。組み立てるのに6時間ほどかかりました。一応寸法などは確認してたけど、3年分のほこりにまみれ、しかもなんだかんだ残念な結果に終わった。うーん、微妙にはまってない。覆水盆に返らず。いろいろとりかえしつきません。

 

 とりかえしがつかないと言えば、去年の5月に本作の台本初稿を読んだとき、そのころ正直な話、あんまり台本おもしろいと思ってなくって、「要は、とりかえしつかないってことだよね」って軽い感じで監督に話したのを思い出した。

 

 でもどうでしょう。出来上がったものを観ると「要は、とりかえしがつかない」ってことが逆説的にすごくせまってきた。映画でしかできない感情の揺すぶり方だと思った。朝礼での校長先生の訓辞並に「今、この瞬間は二度と来ない」というあたりまえで退屈な言葉。でも、ホントのことなんだよなと思う。言葉にすると超どうでもよく聞こえちゃうけど。そんな毎日切羽詰って生きてるわけじゃないけど、「今」を強く意識する瞬間っていいと思います。

 

 ちなみに僕がこの映画でグッと来るのは後半のモンジなんです。当たり前っぷりが優しくて。

 

 おかげさまで上映期間が延長されました。でも上映回数減ってるし、またあっという間に終わっちゃいますよ!「今」観とかないと!って感じで煽ってみましたが、お時間都合つかれるときに「ふっ」と観に行ってもらえるとうれしいです。

 

 城内

 

2012/11/17 腐ってガバガバだけど、現場は頑張りました

 今日は一歩も外に出なかった。で、何をしてたかというと、えーと、これといって何もしてません。やたらと最近来客が多いので、散らかった部屋を片付けたり、本読んだり、雑誌読んだり、ゲームしたり。気がつくと外は暗くなってて雨降ってる。もう無理って感じで引きこもりモードのスイッチを入れました。

 

 「なんにもしてないと、人間ダメになるからな。腐ったら終わりだよ」とは劇中の菅田さん演じる遠藤のセリフですが、よく言ったもんです。監督たちが何を思ってこのセリフを書いたかは分かりませんが、只今駄目駄目です。腐ってガバガバです。

 

 何にもしてないので、何にも書くことがないので、撮影当時の資料を掘り返してみました。いろいろと思い出すのですが、当時の総スケ(総合スケジュール)を見ると、よくもまぁこれだけタイトなスケジュールで撮れたよなぁと改めて思います。

 大体1日の分量が10ページ近くある。脚本というのは大体400字で1ページ。あくまで目安ですが、1ページ1分で計算します。完成稿が102P。(完成尺が113分)撮影日数が12日(+予備日・都内から水戸への移動日)+実景撮影なのですが、この脚本、ほとんどがDシーン、要は日中のシーンなのです。

 

 実際完成したものを見るとわかるのですが、確かにモノクロの作品なので勝負できるのは昼間、御日様が天空にある時間というのが『やくたたず』を撮った経験のある監督なので実感としてあったんだなと今となっては思います。でも当時はあまりにもバランス悪いのでナイトシーン増やせや、コラとなったのは言うまでもありません。でもこの三宅唱という監督はなかなかに頑固なもので年下なのに基本的に言うことをききません。現場ではそれ以外のことでも結構衝突したものでした。

 

 なのに何故、本来現場だけの僕が、いや僕以外のスタッフたちも宣伝とか公開まで関わっているのかというと、まぁ本当にこの『Playback』という作品が好きになっちゃたからなんだと思うんですよね。もし「うわぁ、全然おもんない…」って思ってたらやんなかっただろうと思います。何が言いたかったかというと、どんなに現場がつらかろうと、現場でスタッフとケンカしようと監督というのは出来上がった作品で現場スタッフ・キャストたちを納得されられたら勝ちなんだなってことです。映画をやってる人間たちのほとんどは、所謂「めんどくさい人たち」なので現場ではまぁ文句ばっかり言ってるわけです。その「めんどくさい」スタッフたちが今でも声掛けるとほとんどのやつが集まります。

 みんなあんまりおおぴらには言いませんが、この作品のことが好きなんだろうと思います。ガバガバの人間が言うのもなんですが、いい作品になって本当によかった。見てください。

 城内

 

2011/11/11 「よくわかんない」&「ひっかかる」

 11月11日。世ではポッキーの日。公開2日目。午後から冷たい雨であいにくの週末でしたが、いかがお過ごしでしたでしょうか。

 

 このHPのスタッフブログを読んでいる方は、映画に興味がある方がほとんどだと思いますが、皆さんはいつ頃から映画を見始めたのでしょうか?

 

 僕はと言えば、中学か高校ぐらいからでしょうか。それこそ、この作品の出演者、村上淳さんや渋川清彦さんがファッション誌(FINEBOYSやMen's non-noやSmart)でモデルとして活躍している時代。ど田舎のクソガキだった僕は買うこともできない東京の服屋さん情報やブランドの名前を覚えるのと同じように、そういうファッション誌のお勧め映画にあった、ジャームッシュとかカラックスのような一見「分かりにくい」映画を「分かんないけど、何だかかっこいいな」って思って見てました。なんとも甘酸っぱい時代です。もちろん家族で行った『back to the future』シリーズや『ジュラシックパーク』も大好きでしたが。

 

 でもその頃に見た作品って今でも節目節目に見返してる映画がすごく多い。

 多分「分からない」って思ったことがすごく引っ掛ってているからのような気がします。

 それからたくさんの映画を好きな人(中には映画にとりつかれたと言ったほうがいい人たちもたくさんいる)に出会って、「なぜ」それらの作品がおもしろいのか、あるいはおもしろいとされているのかということを具体的に話す時間に恵まれました。まぁ単に映画についてあーでもないこーでもないとバカ話をするだけのことですが。

 

 初日の舞台挨拶、はるばる来てくれたオープニング登場するスケボー少年、セナ君の『Playback』を見た感想が正直すぎて気持ち良かった。僕も同じくらいの年に見たら同じ感想を言ったかもしれないなと思います。

 『Playback』、自信を持っていいますが、引っ掛かる映画になったと思います。噛めば噛むほど味の出る作品ですので、早めに一度お召し上がりください。

 皆さんにとって一生ものの作品になってくれたら最高です。

 城内

2012/10/28 スタンド・バイ・水戸

 27日のオールナイト明けに、その足でそのまま本作の故郷、水戸へ。水戸短編映像祭のプレミア上映にも行きたかったけど、仕事のため叶わず。こないだ監督と松井くんが行った時も同行できなかったため、僕にとっては撮影の終了挨拶以来、1年強ぶりの水戸です。またもや平島悠三氏と共に。


 早い時間に着いたため、ちょっと仮眠して、撮影時にも通ったスーパー銭湯「やまの湯」にてひと風呂浴びてから水戸市内へ。水戸の街中はちょうど、まちなかフェスティバルというお祭りの開催真っ只中でした。まずは水戸短編映像祭のスタッフの方たちや散々お世話になった「桜田門外ノ変」映画化支援の会の皆さんが運営されるブースを回り、お世話になった方たちと久方ぶりの再会です。みなさん、映画の完成と公開を我が事のように喜んでくれていて制作冥利に尽きるというか、本当に水戸でこの作品を撮れてよかったと思います。


 寂しかったこともひとつ。撮影の拠点となった「park is」という建物がもう取り壊されていて完全に更地になっていました。この建物は震災で致命的なダメージを受けていて、撮影時から近々に取り壊されることは決まっていました。その中で撮影もしたし、役者の支度部屋、地元の方たちに多数参加いただいたケータリングの炊き出し基地、食事場所、物置。隅から隅まで使い倒した、僕らにとってここがなかったら、なんて考えられない場所です。あらためてオーナーの秋山さんの侠気に感謝。在りし日の姿は映画の中で見ることができます。なんつーか、あまりにもあたりまえですが「それそのものが、そこにあるという瞬間の貴重さや儚さ」のoffヴァージョンをダイレクトに見た気がしました。ぽっかりと空いた空地の不在感は心もとなくて、あたりまえにそこには何もなくて。やっぱりこの映画はあのタイミングの水戸でしか撮れない映画だったんだなと改めて思いました。


 雨も降り出して、お祭りも佳境に差し掛かったあたりで、先のブースでやっていた映画ポスターの即売を見てみると…、ちょっと待ってくれ、これとんでもない掘り出し物あるんじゃないの? スタッフさんに呆れられながらおそらく千枚にもなろうかというポスターを引っぱり出し、全てチェック。よだれが出るようなレアな品が続々と。「エドワード・ヤンのサイン入りじゃん!!」とか「これ、クリストファー・ドイルのサインじゃね?」とか「うわー、若松さんのサイン、『心』って書いてある」とか散々盛り上がってしまいましたとさ。


 今回、会えなかったたくさんの方にもお会いしにまた水戸に行きます。この映画が水戸で長いこと愛されてくれることを、いや愛される作品になるかどうかはこれからです。大内くん、次行った時にした約束よろしくお願いします。

城内

 

※タイトルの他案

「オオウチー、わが最愛の水戸」
「水戸か1/2」
「水戸の稲妻」
「新学期 操行水戸」
「果てなき水戸」
「水戸の友人」

 

2012/10/26

 25日の日記なんですが…京都在住時代の同居人、現シマフィルム構成員の田中氏が京都連続シリーズ『太秦ヤコペッティ』(なんつータイトル!)の監督・宮本杜朗氏を引連れて上京中。草の根的な宣伝活動のため東京国際の開催に合わせて来日する世界のキューレターたちに接触している。
 僕が映画に能動的に関わり始めて彼是10年になるが、田中氏とは京都国際学生映画祭スタッフ時代からの付き合いで、つまり普通の学生でただの映画好きだった僕をこの世界に肩までどっぷりつからせて、ほんのり桜色に仕上げた張本人の一人でもあったりします。

 宮本氏は僕が本格的にこの世界で死ぬまでやっていこうと決めさせた作品『ジャーマン+雨』をつくった第3回CO2の制作監督の一人です。(制作作品『フリフリ坊主』。本作三宅の『やくたたず』もCO2での制作ですね。)

 

 ほいで、昨日の夜からうちに泊まりに来てた本作のフィクサー・平島悠三氏と一緒に東京国際映画祭 日本映画・ある視点部門で上映される木村文洋監督作品『愛のゆくえ(仮)』を見に行く流れに。上の二人とは劇場で合流。木村監督も田中と同じく学生映画祭時代の同僚でタメ年。みんな、映画と関わり続けてる。

 

 プロフェッショナルな監督、スタッフとして、あるいはインディペンデントで。続けている仲間がいるってのは、僕にとってだっさい言い方だけどすごく力とか元気をもらえるのです。「あれ撮ってるの俺の古い仲間なんだぜ」っていうのってやっぱりちょっと誇らしかったりするのです。『愛のゆくえ(仮)』、木村らしい誠実さにあふれたいい作品だったと思います。題材の選び方もやっぱり気になります。

 

 その後、何故か悠三くんとお台場でガンダム見たり、ダイバーシティに行ったりと恋人のデートコースを満喫しました。すっかり秋ですね。

 

 ともあれ『Playback』のスタッフのみんなも、そしてこの作品を見に来てくれて何かを感じてくれたお客さんとまた違う作品で関われたらサイコーです。まずは劇場に集合しましょう。27日はオールナイトだ!

 

京都発モンド映画『太秦ヤコペッティ』のHPはこちら

12月1日ポレポレ東中野にて公開『愛のゆくえ(仮)』のHPはこちら

 

城内