【レポート】 『ニュータウンの青春』トークショー

 
 2012年11月6日(火)は、現在ユーロスペースにてレイトショー公開中の『ニュータウンの青春』上映後に村上淳さん、三宅監督のお二人、森岡龍監督とのトークがありました。
 
 昨晩の『ヘヴンズ ストーリー』に続いての村上さん、三宅さんのコンビ。瀬々監督とのトークはやはり大先輩とあって緊張気味に話していた三宅監督でしたが、本日は自ら司会をかって出る場面も。

三宅:この映画は「あのシーンがいい、ここがよかった」と、ざっくばらんにえんえんと話したい気がするんですが、今日はトークショーということで僕が司会をやりますね。まずはぜひ、村上さんの感想を教えてください。

 

村上:あまりこういうトークショーで褒めあうのは好きじゃないんですが、この映画はどうしても褒めてしまいたいですね。映画的な仕掛けに満ちていて、かつ俳優も自由だよね。ほんとに新しい才能で、やばいな、と思います。(チラシの表記をみながら…)この三人、みんな名前のうしろに「(新人)」って書いてあるんだね。いいな、俺もつけたい(笑)

 

「新しい才能」がまたここに産まれたと称賛を惜しまない村上さん。

具体例を出して、細部の魅力について語ります。

 

 

森岡:細部を描きたい欲望がすごくある一方で、シナリオを書くのは苦手です。普通にシナリオの本とか読んで勉強しました。

 

村上:いや、よくできているシナリオだと思いますよ。細部に関しては、下ネタもあるし、青臭い部分を描いているけれど、品がある。というのは、きちんとくだらないシーンでも、最後までカットで落ちをつけているのが偉いと思った。細部をきちんと撮ってこそ映画だしね。

 

三宅:彼ら3人組がベランダから家に侵入するシーン、自分も『やくたたず』でやろうかと考えたことがあって、やられたと思いました。

 

村上:ガスライターと水があれば、最悪、自分がカギ忘れたときに窓から家に入れるんだ!と思わせられるよね。いつも映画からはそういう悪いことを教わるって伝統もある気がするな。

 

三宅さんから質問が。

 

三宅:今回出演された3人はほんとに素晴らしいわけですが、龍くん自身も俳優として沢山の映画に出演されています。今回、自分が出演しようとは思わなかったんですか?

 

森岡:実は前に一度試したことがあるんですが、なんだか中途半端になってうまくいかなかったんです。今回は監督としてきちんと演出がしたかったし、1カット1カットに責任を持ちたいと思って、最初から出演するつもりはありませんでした。

 

との回答。森岡監督が、本気で「映画を撮る」という覚悟を感じた言葉でした。

 

三宅:ベン・アフレックがいま監督として3本撮っていますよね。特に『ゴーン・ベイビー・ゴーン』と『ザ・タウン』は、自分が育った街を舞台に、その街の悪ガキどもというか、男たちの映画を撮っているわけです。そして龍くんも、俳優であり且つ映画監督として、自分の街を舞台にした青春映画を、こんな見事な傑作として撮りあげてしまった。ベン・アフレックと森岡龍という名前を並べるべきだと思います。今日はこれだけ言いたかった! 

 

 ページ下部には、三宅監督から森岡監督へ宛てた感想メールの転載があります。是非、ご一読ください。

 さらに、森岡監督から三宅監督へ宛てた返信内容も『ニュータウンの青春』NEWS BLOGに掲載中。若手監督同士の裏でのやりとり。

 

 

 トークショーは軽妙なノリが続き、何度も笑いが起きました。もっともっと映画の話が続きそうでしたが、残念ながら時間切れ。

 『Playback』と『ニュータウンの青春』の共通点、それはまさに俳優が活きている映画という点でしょう。このトークの中心に村上淳さんという「俳優」がいることが、会話を引き立てていたようにも思えたのでした。

『ニュータウンの青春』に寄せて 三宅唱

(※今年の5月に三宅が森岡監督に送ったメールを加筆修正しています。基本的にネタバレしかないので、ご鑑賞後のほうが良いと思いますが…) 


『ニュータンの青春』、みた。2晩連続でみたよ。

以上!

 
と、書いて終わらせるのも勿体ないので、以下駄文を失礼します。

まず冒頭、8mm映像&人物紹介ナレーション。すぐにあの世界と彼ら全員に「愛着」が湧いた。焼きそば、太もも、とあくまで具体的な映像だからこそ生まれる愛着。笑いながら、ぐっときました。また同時に、これは映画そのものの本質・根源と直接関わることだと思けど、8mmを回す主人公の存在や、映画内8mm映像のシーンがあることで、「すでに終わった過去の出来事をただただみている」とい感覚を意識させられる。このあたりに関連して、幽霊スナックや骸骨というモチーフが出てくるのも狙いがあるのでしょか。やはり同じく「既に失われたもの」で画面を満たしたい欲望として。(骸骨ショットがただの「意味」をこえて感情的にぐっとくるかは別)

3人のヒロインが登場して、交互にそれぞれとのエピソードが描かれる。巧い!と思ったのは、カットバックをせずに二人の人物の距離の配置に徹したカットの数々。教室のシーンしかり、スナックでの告白シーンしかり。

 また、河井青葉さんの額に紙がつく寄りのショット〜その後の4人のグループショット、という繋がりもよかった(ベンチとチャリの、あの見事なポジショニング。そのあたりまえさが素晴らしいのだが、果たして多くの監督がさも当然のよにあれを配置できるかどか)。ちなみに個人的にもっとも好きなのはゴイチくんが惚れるバツイチのコでした(ラスト、髪をあげて、衣裳が変わっているのがたまらなかった)。

また、「ストーカー被害に困る女性から犯人探しの依頼を受けるが、ばかな失敗を繰り返してしま」といプロットについて。『やくたたず』のシナリオ改稿中に一度チャレンジして失敗した流れだったので、こすればよかったのか、と膝をった。空き巣が窓を割る方法やらなんやらおれも研究したよ。悔しいなあ。

終盤以降、何度かグッときた。まずは、空き巣に入ったあとの一連の長回し中の飯田くんの芝居。「これ違?」「おれあのひとのなんでもない」とい台詞を、実際に口に出すのはとても難しいと思のだけど、飯田は全編通してほんとによかった。あんなに顔の筋肉を動かし続けて(しかも雑に、それが普通かのように)、それが全部カッコイイって、すごいよな。飯田にはほんとにグッときた。

ゴウイチも、ほんとに素晴らしいの一言。かっこいいね、こういう男がもてるんだろうね。そして、この映画の主人公はやはりカズカズのあの清潔さがなければ成立しなかったと思うし、ヨゴレなのに清潔な男はなかなかいない。見事な3人組だと思いました。

「階段を上にあがってしま」といアクション。下から人がきて邪魔されて、条件反射的にすぐ上に昇る。そして横位置ショットであがる姿をロングでみせる。正統だ、アメリカンだ、と思った。そして最後の「軽蔑顔/情けない顔」まで積み重なるわけだけど、このあたりは「とりかえしがつかないことが起こった」感に溢れていたと思う。

 

とはいえ欲をいえば、屋上シーンの空間・時間はなにかまだ巧い方法があるはずだと思ったんだった(息切れが嘘っぽいのか、煙草の着火瞬間カットが甘いのか、「飯田くんー青葉さん」の距離感を一目でわからせるショットかなにか)。でも最後の表情2発、アレを撮れれば文句なし、ということかもね。きっと現場は夕暮れが迫る時間のないなかで大変だったと想像するのだが、それでも「あの顔だけはちゃんと撮るぜ」といような意志を感じた。

入学式の外の1カット。あの距離感(カメポジ)と時間の流れがよかった。最後に二人の話が盛り上がったあたりで、観ている俺はここちよく「もおれはあいつと関係ないや」感(=映画終わる感)があった。気持ちよく映画から排他されるといか。「遠くにいってみえなくなったから、ばいばいなんだなー」感。そして、あれは一郎くん?ばかな台詞だぜ(笑)

ラストの幽霊スナックでの「そっくりだけど別人だよん」カット。これ大好物なので、ぐっときました。しかも、そのカットをちょっとパンしてフォーカスを送って、カズカズの顔に寄る、そして彼が語る話につながる。つまり、1カットの持続のなかで決意や決定的な行為をみせる、といことだよね。背中側に廻って後ろを振り返るカズカズの顔、といカット割りもありえたと思。でも、たぶん割らずに1カットが正解なのだと思われた。勉強になる。

イチの父だけでなく、画面には映らない二人の母の存在感(スーツ買ってくれた、って嬉しいことだよね)は、個人的な感情でとても好き。

3人の男、3人のヒロイン、正義と犯罪、別れ、それぞれの将来・末路とい複層のメインストーリー。部(カメ、ロケット、キリスト、ちんこの跡、アフロ、ホワイトマンetc)。
メインの進行と細部への脱線のバランスがよいのかな。細部がtoo muchにならない。いやはや、ただただ完璧だなあと思いました。多くの青春映画が、「途方にくれる」とい描写まではいくのだが、なかなかその次の「おとしまえをつける」までいかない(『やくたたず』もそうかもな…)。つけるよで、ついていない。『ニュータウンの青春』は、おとしまえがちゃんとついてるよ。


エンドロールもよかった。ユーモアとしての「UFO」。アイロニーとしての「飯田の幽霊」。これらをまとめてポイと捨てることこそをよしとする、ロマンチックさ。

映画を、安易なノスタルジーと結びつけずにしたまま、現在を大事にしつつ、でもそれは同時に過去あっての「現在」であって……みたいな、且つ、それは映画そのものとも関係があって(単なる過去の記録でなく、スクリーンで不断に更新され続ける現在としての?)、まあなんて書けばいいかよくわからんけど、でも、そことだと思っている。そんなことを改めて考えたよ。

 


などなど長々書いたけど、まとめると、ホント良かったです。

えらそうに書いてしまったところ、ご容赦ください。

 

でもさ、おれも龍くんも、男映画をこれからもやり続けるのか、とくに3人組の男の物語をやり続けるのか。

 

おれはいま、1人の男を主人公とする映画をやりたいと思ってる。

龍くんはどうするんだ?

また話しましょう。